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暮らし 2026年5月29日(金) 22:36

品川区に増殖するマンション型民泊とは? — 近隣リスクを考える

品川区の民泊225件は、実は約100棟に集中しています。なかには1棟で20戸以上が届け出られた建物も。「マンション型民泊」が増える背景と、近隣住民が知っておきたいリスクを、区の公開データから整理しました。

品川区に増殖するマンション型民泊とは? — 近隣リスクを考える

前回の記事で、品川区に届け出られた民泊が225件あること、「1棟の中に複数の民泊部屋がある」、いわゆる「マンション型民泊」の存在に触れました。

▶ 前回の記事:近所に民泊増えてない?! 品川区の民泊を全件調べてみた

この記事では、その「マンション型民泊」とは何か、なぜ増えているのか、そして近隣にどんなリスクをもたらしうるのかを、品川区の公開データをもとに整理します。

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■ 「マンション型民泊」とは何か

民泊と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「空き家になった自宅の一室を、その部屋の所有者が旅行者に貸す」というイメージかもしれません。家主が同居していたり、近所付き合いの延長で迎え入れるなど、ホームステイ的な世界観です。

しかし、実際のデータを見ると、その姿はだいぶ違いました。

たとえば品川区が公開している住宅宿泊事業の届出一覧で、5戸以上が同じ建物に集中しているケースは、区内で10棟以上が確認できます。なかには1棟で20戸を超える届出がある建物もある。これらの多くは、民泊運営を専門に手がける会社が管理を委託されていました。

つまり、「マンション1棟まるごと、あるいはその大半を、複数の宿泊客が同時に泊まる施設として運営する」——これがいま品川区で増えている民泊の主流形態です。形のうえでは民泊(住宅宿泊事業)。実態としては小規模ホテルに近い運営になっています。

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■ どの建物に集中しているか

品川区が公表している届出一覧から、5戸以上が集中する建物を抽出すると、次のようになります(令和8年5月15日現在)。

22戸 南品川1丁目 trias181
15戸 西品川3丁目 Dash Living Osaki
14戸 上大崎4丁目 フラワーヒル目黒
12戸 小山6丁目 リアライズ西小山
10戸 大井1丁目 シティプラザ大井町  
7戸 平塚1丁目 CREARE TOGOSHIGINZA  
5戸 戸越3丁目 ベェレハーモニー戸越  
5戸 中延2丁目 オテル・デュー中延  
5戸 旗の台5丁目 スマートVILLA旗の台  
5戸 西五反田2丁目 Zekoレジデンス

いずれも品川区が公開している届出情報の建物名です。これらの建物では、複数の部屋が民泊として届け出られていました。

なお、これらは住宅宿泊事業法に基づき適法に届け出られた施設です。掲載されていること自体が、騒音やゴミなどの問題を意味するものではありません。

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■ なぜマンション型民泊が増えているのか

背景には、民泊新法(住宅宿泊事業法)の制度設計があります。

民泊新法は、家主同居・家主不在の両方を認めていますが、年間営業日数を180日までに制限しています。1年の半分しか営業できないため、1室だけの運営では収益は伸びません。

そのため事業者は、1棟または複数室をまとめて運営することで規模を確保しようとします。10室あれば、それぞれが180日ずつ稼働しても、施設全体としては年間1,800日分の宿泊提供が可能となり、ホテル1棟の稼働に匹敵します。

加えて、住居系地域(品川区の住宅街の多く)では、民泊新法に基づく営業は原則として土日のみに制限されています。住宅街の物件で365日営業したい事業者は、民泊新法ではなく旅館業法(簡易宿所営業)の許可取得に向かうケースも出てきました(この点は別の記事で詳しく取り上げます)。

つまり「マンション型民泊」は、制度の隙間を狙ったものではなく、現行制度のなかで収益性を確保しようとした結果として生まれる業態だと言えます。

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■ 近隣住民が抱えうるリスク

マンション型民泊が街にもたらしうる影響について、論点を整理します。

1. 出入りの集中

10室、20室の宿泊客が滞在中、共用部やエントランス周辺は通常の住居用マンションとは異なる人の出入りが懸念されます。スーツケースの音、深夜・早朝の動き、エレベーター待ち。生活音の質が変わってきます。

2. グループ宿泊と夜の宴会

マンション型民泊は同じ建物内に複数の客室があるため、団体旅行や、SNSや現地アプリで知り合った観光客がグループで集まる拠点として使われやすい構造があります。1部屋に集まって深夜まで宴会、というケースは、宿泊客の側に悪気がなくても発生しうるものです。複数の客室がある建物では、隣室・上下階・近隣住戸への影響が一般のホテル以上に直接的になります。事業者の側でハウスルール(深夜の静粛・宴会禁止など)を明示し、違反時の対応体制を整えているか。そこが鍵になります。

3. ゴミ出しと地域ルール

宿泊客は地域のゴミ収集日や分別ルールを日本に来てから知ります。民泊事業者がどこまで宿泊客に周知しているのかは、事業者によって異なるでしょう。運営体制次第では、ゴミステーションに混乱が生じることもありえます。

4. 防火・防災への不安

宿泊客は建物の避難経路に不慣れです。火災や地震が発生したとき、通報する手段や緊急通報の110番や119番を正しく理解しているでしょうか。知っていたとして、状況を日本語で正確に伝えられるでしょうか。火災などが発生した場合、誰がどう避難誘導するのか。緊急時の初動がどうなっているのか、こうした背景も、漠然とした不安の材料になっています

5. 一般入居者との共存

同じ建物に「民泊として届け出られた部屋」と「一般の長期賃貸の部屋」が混在しているケースがあり、長期で暮らす住人にとっては、毎週入れ替わる隣人と暮らすことになります。一般入居者の生活環境にも、変化が及ぶ場面が出てきます。

6. 防犯への漠然とした不安

オートロックマンションでも、宿泊客は鍵やパスコードを共有されて入館します。不審者・部外者の出入りとの見分けがつきにくくなるので、住民の側から見れば、十分な安心感のある生活とはならないでしょう

これらは「だから民泊はダメ」という話ではありません。民泊事業者の側が、これらのリスクをどう設計でカバーしているか。そこが街と共存できるかの分かれ目になります。

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■ 住民にできること、行政の窓口

近隣でマンション型民泊が運営されていて、生活に影響が出ている場合、対応する窓口があります。

騒音・ゴミ・運営上のトラブル → 品川区生活衛生課
夜間の騒ぎ・防犯上の不安 → 警察(110番、もしくは最寄りの交番)
届出の有無の確認品川区の届出一覧PDFと照合

「気になる物件」を見つけたら、まず届出番号が明示されているかを確認するのが第一歩です。届出番号がない、もしくは番号が無効なものは違法民泊の可能性がある。これは品川区生活衛生課への通報対象になります。

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■ おわりに

「マンション型民泊」は、現行の民泊制度のなかで収益性を確保しようとした事業者が選んだ自然な形態です。

一方で、住民の側から見ると、同じ建物に毎週違う宿泊客が出入りすることへの戸惑いや不安感があるのも事実。「適法だから問題ない」で済まされない領域があります。

musako.net は今後も、品川区および隣接エリアの民泊・宿泊施設の動向を継続的に追っていきます。お住まいの地域で気づいたこと、見かけたこと、不安に感じることがあれば、ぜひタレコミからお寄せください。

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データ出典:品川区「住宅宿泊事業 届出住宅一覧」(令和8年5月15日現在) 集計:musako.net 編集部 ※同一建物内の複数戸はそれぞれ1件として届出件数に計上しています。 ※本記事に登場する建物名は、品川区が公表している届出一覧の記載をそのまま引用しています。

#民泊

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